ゼニア生地の選び方

「ゼニアのスーツを着てみたい!」と思っても、どのような色柄のスーツにするかを決めなくてはいけません。

まず決めないといけないのが、どの季節のスーツ生地にするかです。

生地は夏物や冬物に分かれているので、着用時期に合わせた生地を選びます。

次に色と柄を選びます。好みの色柄ではなく、着用するシーンに合った色柄を選びましょう。

ゼニア生地の選び方を「季節」と「シーン」に分けて説明します。

目次

1. 季節に合わせた生地の選び方

春用のゼニア生地

春用の生地は「トロフェオ」「15ミルミル」「トラベラー」です。

Trofeo(ゼニア トロフェオ)

ゼニアを代表する生地「トロフェオ」。オーストラリア産のスーパーファインメリノウール(細い原毛)の中から最高品質の原毛だけで作られます。

生地表面はツヤツヤとした自然な光沢が上質さを醸し出しています。しっとりとしたさわり心地も快適です。

ゼニアを代表する生地だけに種類は豊富で、無地やストライプなど旬の色柄がラインアップ。

トロフェオには春ものと秋ものがあります。

生地の厚さや重量はほぼ同じ。春のトロフェオの生地表面はクリアカットされており、秋のトロフェオは軽く起毛しています。

色合いにも違いがあります。春は明るいブルーやライトグレーが中心。秋はチャコールグレー、茶系のシックな色合いです。

「トロフェオのスーツを着用すると、他のスーツが着られなくなる」と言われます。ゼニアショップの価格は583,000円(2024年ゼニア調べ)

15milmil15(ゼニア 15ミルミル)

クインディッチミルミルクインディッチ。15ミルミルと呼ばれています。

15ミクロンの超極細糸を使用。このレベルの糸は希少性が高く、サラサラと流れるようになめらかなタッチです。

トロフェオが縦に双糸(2本)を、横に単糸(1本)なのに対して、15ミルミルは縦にも横にも双糸(2本)を使った贅沢な作りです。トロフェオより極細なのにハリやコシがあるのは高級糸の2本使いによるものです。

希少性の高い15ミルミルは、ゼニア生地の中で最上級であるがゆえに価格も高額。ゼニアショップでの販売価格は737,000円(2024年調べ)

Traveller(ゼニア トラベラー)

トラベラーという名のとおり、出張や旅行で活躍します。出張先でしわになったジャケットをハンガーにかけておけば、翌朝には回復する機能を備えています。

トラベラーは強く撚ったダブルツイスト糸を使用することで耐久性を増しています。さらに織り上げる段階で防シワ・摩擦加工を施しました。

1mあたり260gと軽量なので夏を除けば年中使用可能です。機能性生地の名作として人気です。

Traveller Silk(ゼニア トラベラー シルク)

トラベラーシルクの混率はウール90%、シルク10%。シルクなしのトラベラーが280gに対して、トラベラーシルクはわずか240gと軽量。表面にはシルク混のきれいな光沢と、極細糸が織りなす細かな美しい柄を携えています。

夏用のゼニア生地

夏用の生地は、「クールエフェクト」「ハイパフォーマンス」「モヘアトロフィー」「スティーレリベロ」です。

Cool Effect(ゼニア クールエフェクト)

2010年に初登場。高温多湿な日本の夏、そんな過酷な状況でスーツを着るビジネスマンの救世主となりました。

太陽光を80%反射し(通常の反射率は20%)、スーツの表面温度を10度下げるクールダウン効果を実現。仕上げの段階で特殊なトリートメント加工を施しています。

夏でも上着を着られるという革新をもたらし、ゼニアの夏生地の定番として人気でした。(追記:2021年にコレクションからなくなりました)

High Performance(ゼニア ハイパフォーマンス)

元に戻ろうとする弾力性がある強撚糸を使うことで、シワになった時に元に戻る特性があります。

さわり心地はシャリッとしていて、真夏でも快適に過ごせる質感です。

ハイパフォーマンスは2種類あります。細い糸を使用した生地と、ポーラ織りのザックリとした生地です。

ナチュラルストレッチ機能も付いていて動きやすいスーツが作れます。(追記:2020年にコレクションからなくなりました)

High Performance Linen(ゼニア ハイパフォーマンス リネン)

強撚糸のハイパフォーマンスに、麻を加えた真夏用の生地。麻10%でも麻特有のスラブが入っていて、麻50%の見え方。さわり心地もサラリとして清涼感があります。

麻はシワになりやすいですが、シワに強いハイパフォーマンスと組み合わせたことでシワがあまり目立ちません。真夏に最適なクールビズ用としてノータイスタイルに着用できます。

Mohair Trophy(モヘアトロフィー)

Mohair Trophy(ゼニア モヘアトロフィー)

南アフリカ産の上質なモヘアを使用した夏向け生地。英国のモヘア生地は硬くゴワゴワしていますが、ゼニアのモヘアは薄くて軽いです。

薄いながらも生地にハリやコシがあって、モヘアの光沢感や清涼感は損なわれていません。モヘア混の素材はシワになりにくいので、湿度の高い日本では人気があります。(2017年にコレクションからなくなりました)

Stile Libero(スティーレリベロ)

Stile Libero(ゼニア スティーレリベロ)

強撚糸とライクラをかけ合わせた、横方向に伸びるストレッチ素材です。210gと軽量で平織りの夏用です。

強撚糸はシャリシャリとした触感になりますが、このスティーレリベロはサラサラとしています。湿度の高い夏でも快適です。ゼニアがスーツ生地にライクラを使用するのは初めて。

秋用のゼニア生地

秋用の生地は、前述の「トロフェオ」「15ミルミル」「トラベラー」です。

Trofeo(ゼニア トロフェオ)

「トロフェオ」。オーストラリア産の細い原毛から、その年の最高品質の原毛だけを使って作られます。

生地表面には高品質なツヤツヤとした自然な光沢があって、上質さを醸し出しています。また、しっとりとしたさわり心地に定評があります。

トロフェオには秋発売のものと、春発売のものがあります。

生地の厚さや重量はほぼ同じ。秋のトロフェオの生地表面はやや起毛しています。春のトロフェオはクリアカットされてツルツルしています。

また、秋と春の生地とでは色合いに違いがあって、秋は紺やチャコールグレー、茶系のシックな色目が多く、春はブルーやライトグレーなど明るい色が中心です。

「トロフェオのスーツを着用すると、他のスーツが着られなくなる」ほど。ゼニアショップでの販売価格は583,000円(2024年調べ)

15milmil15(ゼニア 15ミルミル)

クインディッチミルミルクインディッチ。一般的には15ミルミルと呼ばれています。

15ミクロンの超極細を使用。このクラスの極細糸は非常に希少性が高く、さわり心地はサラサラと流れるようになめらかで、まるでシルク100%と間違うほど繊細なタッチです。

トロフェオが縦に双糸(2本)を、横に単糸(1本)に対して、15ミルミルは縦にも横にも双糸(2本)です。トロフェオより極細なのに生地にハリやコシがあるのは、このタテヨコ双糸(2本)によるものです。

希少性の高い極細糸をふんだんに使った15ミルミルは、ゼニア生地の中では価格も高額。ゼニアショップの価格は737,000円(2024年調べ)

Traveller(ゼニア トラベラー)

トラベラーというその名が示すとおり、出張や旅行で活躍する生地です。出張先でしわになったジャケットをハンガーにかけておくと、翌朝にはほぼ元の状態にまで回復する機能を備えています。

トラベラーは強撚の双糸(2本)の糸を使っているので、ハリとコシがあって耐久性もあります。また、織り上げる段階で高度な防シワ・摩擦加工を施しています。

柔軟で弾力性に富み、1mあたり260gと軽量な生地で、防シワ加工を施した機能性生地の名作です。

冬用のゼニア生地

冬用の生地は、「14ミルミル」「エレクタ」「ヘリテイジ」「トロフェオカシミア」があります。

14Milmil14(ゼニア 14ミルミル)

14ミクロン(1ミクロン=1000分の1mm)の超極細糸を使用。人の髪の毛が直径50ミクロンなので、14ミクロンの糸がいかに細いかがわかります。

14ミルミルは冬の厚みのある生地です。14ミクロンの極細糸で織られた生地は、カシミア100%に限りなく近い触り心地。

生地表面をうっすら起毛させ、柔らかさだけではなく保温性もしっかりと確保。生産量が極めて少ない希少価値の高い14ミルミル、極上のさわり心地を体感ください。

ELECTA(ゼニア エレクタ)

エレクタの生地の特徴はその耐久性。ビジネスシーンでハードに着ていただいても生地が傷むといったことがありません。

エレクタはしっかりとした太い糸を使用しています。トロフェオがスーパー130レベルなのに対し、エレクタはスーパー110レベル(数字が大きいほど糸は細い)。しっかりとした糸が耐久性とシワへの耐性を生み出します。

太い糸といっても生地の重さは260g程度と重くありません。生地表面には高級感のあるツヤもあります。1929年登場のエレクタ、長年人気のゼニアのロングラン生地です。

シワを気にしないで着られるので、ゼニアのオーダーが初めての方におすすめしています。

HERITAGE(ゼニア ヘリテイジ)

ヘリテイジは、ゼニア社が創業以来開発してきた生地コレクションと、エルメネジルド・ゼニア氏のワードローブからピックアップした色柄の生地。その雰囲気は1930年代で、当時のデザインを現代風にアレンジしています。

1930年代と同じように糸の撚りをダブルツイストにし、トラディショナルフィニッシュを施すなど当時の生地を再現しています。

クラシカルな歴史を感じさせるヘリテイジは、今のトレンドにピッタリの生地です。

Trofeo Cashmere(ゼニア トロフェオ カシミア)

トロフェオにカシミアを5%ブレンド。残りの95%のウールにも高品質のトロフェオの原毛を使用しています。

カシミアが混合されているので、トロフェオよりもソフトなさわり心地。生地表面は軽く起毛されていて、暖かな冬用の生地です。

2. シーンに合わせた生地の選び方

結婚式・冠婚葬祭・礼服

結婚式に招待されたけど、10年前に作った礼服を着ていくわけには…

そうですね。結婚する方にとっては晴れの舞台。ヨレヨレの昔のスーツで行くのは失礼かもしれません。

着る機会が少ない礼服だからこそ、恥ずかしくないものを用意しておくべきです。

冠婚葬祭のすべてに使える礼服用の生地は2種類。トロフェオとトラベラーのブラック無地。年間を通して着られます。品の良いスーツ生地なので、着る方の印象も上品に映ります。

シルバーのタイを合わせれば結婚式に、ブラックのタイを合わせればお葬式にも使うことができます。

入学式・卒業式・入社式

入学式、卒業式、入社式の春用のゼニア生地としてはトロフェオがおすすめです。

生地表面の程よい光沢感が、まわりの人たちの目を引きます。上質さがスーツ全体に品よく広がります。

色目はネイビーの無地か、シャドーストライプがおすすめです。タイやチーフで上品にまとめましょう。

講演・学会の発表

大勢の前で講演する際には、どんなスーツを着ていくのが良いでしょうか。

この場合、まわりに与えたい印象は威厳や誠実さです。

濃いめの無地やストライプ系のスーツで、どっしりと落ち着いた印象と誠実さを出すことができます。

生地はトロフェオ。壇上はスポットライトが生地の上質さを引き立足せるので、良いスーツを着用しているのがすぐにわかります。

経営計画発表会

大勢の前で方針を発表する大切な場です。そこで、数年前のヨレヨレのスーツを着ていたら、社員はどう思うでしょうか。

こうした場面では威厳と品格が必要です。上質な生地のスーツをこの日に合わせて用意したとわかるぐらいに気合いを入れてください。

生地はトロフェオ か15ミルミルの光沢のあるもの。

明るい色合いのスーツは華やかですが、軽すぎる印象になりがちです。落ち着いた色のネイビーやグレー系のものを選びましょう。

3. 生地の色柄の選び方

色の選び方

スーツを着るシーンによって選ぶ色は変わります。

ネイビーやグレーが基本ですが、明るいネイビーやグレーなど淡い色もあります。色の違いによってどのように印象が変わるか、見てみましょう。

ネイビー

ビジネスシーンではネイビーとグレーの2択。ネイビーは知的さ、誠実さ、爽やかさを演出。さらに、色の濃い薄いでも印象が変わります。

濃い紺のスーツは、礼節をわきまえた真面目で誠実な印象を与えるので、かたい商談や会議に最適です。

淡い紺、ブルーに近い色合いのスーツは親しみやすさをアピール。トーンが明るくなるにつれて堅い印象が和んでいきます。ややカジュアルな印象にも見られがちです。

ネイビーは生地の質の良し悪しがはっきりと出る色と言われています。

糸が細くなればなるほど高品質で、光沢や肌ざわりが違ってきます。ネイビーを選択するのであれば、上質なゼニアのトロフェオが良いですね。

ネイビーは年齢や流行に関係なく長く着られるので、第一選択肢としていつの時代でも人気です。

グレー

ネイビーに次いで選ばれる色はグレー。グレーも時代に関係なく長く着られるという点ではネイビーと同じです。

落ち着いた大人の印象。グレーにも濃淡があって、それによりイメージが変わります。

濃ければ濃いほど重厚感が出てシックな印象で、チャコールグレーと呼ばれています。真面目で誠実な印象を与えるので、硬めの商談に最適です。

グレーが苦手の方でも、チャコールグレーでしたら抵抗なく着られます。

ライトグレーはチャコールグレーよりも柔らかな印象で、フランクに話しを進めたいシーンや部下と面談する際には親近感がわいて話しやすくなります。

ブラック

ブラックは結婚式などの冠婚葬祭で着るのが一般的です。礼服、略礼服と呼ばれます。

ブラックスーツの購入を考えているお客様から、冠婚葬祭だけではもったいないから普段も着れる?とご質問をいただきます。

ツヤのないマットなブラックだと完全にフォーマルになります。ツヤのあるゼニアのトロフェオブラックであれば…なのですが、やはり冠婚葬祭用が一番合います。

柄の選び方

スーツの印象を左右するのは色以外に柄も関係します。ストライプやチェックの場合、柄の大きさでも印象が変わります。柄で印象がどう変わるのでしょうか?

無地

無地はスーツの基本なので、どんなシーンでも着れます。ビジネスシーンはもちろん、フォーマルな場面、パーティーなど使用範囲は広いです。

基本のグレー無地、ネイビー無地であれば、流行に左右されない好感度の高いスーツとなります。

無地スーツは主張が少ないので、シャツやネクタイで個性を出しやすくなります。例えば、ハッキリしたストライプのシャツやレジメタイを組みあわせることで無地のスーツをドレッシーに見せられます。

ストライプ

ピンストライプ、ペンシルストライプなどハッキリしたストライプと、同色のシャドーストライプがあります。

ハッキリしたストライプは個性的な印象に。縦ラインが強調されるので細身に見える効果もあります。他人とは違う個性的なスーツを着たい方は、写真のようなストライプ幅1.5cmの広めの柄がおすすめです。

シャドーストライプは遠目には無地に見え、近づいたり光が当たる角度で柄が浮き出ます。シャツやタイが合わせやすく、使用できるシーンも多いので人気です。

チェック

14milmil
14milmil

チェック柄のスーツはカジュアルな印象も強いので敬遠されがちです。

柄がハッキリ出たグレンチェックは、正統派とはいえ、着る人を選びます。ただ、ウィンドウペンや同色のシャドーチェックであれば抵抗なく着れます。

まずはダーク系のチェックから始めて抵抗感をなくせば、選択肢の幅が広がっておしゃれが楽しくなっていきます。

3. 絶対に失敗しないゼニア生地は?

ゼニア生地の選択肢は多いので、どれにするか迷われると思います。

そんな方に、失敗しないおすすめのゼニア生地はこちら!

ゼニアの「トロフェオ 」と「15ミルミル」です。

触り心地、質感ともに最上級。トロフェオと15ミルミルを選んで失敗したという声を聞いたことがありません。それほどお客さまの満足度の高い商品です。

中でもトロフェオは色柄が豊富というのもポイント。ネイビー無地だけでも何種類もありますし、ストライプ、チェックなどの柄物も揃っています。

迷ったらゼニアのトロフェオか15ミルミルがおすすめです。

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